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【インタビュー】AT.Wallet 開発総責任者 Zake Huang氏 – 後発ハードウェアウォレットメーカーとしての優位性を訊く

Quoted from: Token Economist

指紋認証の分野において多くの実績を持つAuthenTrend Technology社(以下、AuthenTrend)は、2020年に仮想通貨のハードウェアウォレット分野に進出しました。ハードウェアウォレットとしては後発となる同社の製品「AT.Wallet」には、後発ならではの優位性が存在しています。

そこで、今回はAT.Walletの開発総責任者であるZake Huang(ゼイク・ファング)氏に、製品の優位性や今後の取り組みについて伺いました。

AT.Wallet 開発総責任者 Zake Huang氏 インタビュー

会社紹介

加藤:AT.Walletの発売元であるAuthenTrend社についてご紹介ください。どのような分野や製品において実績がありますか?

Zake:我々は「No More Password」を掲げ活動しています。ハッキング関連被害の81%は、セキュリティの低い、または脆弱なパスワードや漏洩したパスワードを使ってしまうことです。我々は、生体認証によるパスワードレスが、今後のITコストを削減し、セキュリティと利便性を高めるために必要不可欠であると考えています。

我々のビジョンは、遅かれ早かれパスワードがなくなり、ほとんどの人々がモバイル端末や、セキュリティキーなどを使って、デバイス、アカウント等のサービスやブロックチェーン台帳にログインするようになることです。

AuthenTrendは、指紋によるセキュリティ認証を個人から法人まで、集中型から分散型まで、ITからIoTまで、認証のトレンドに合うセキュリティを提供します。

我々は2016年5月に創業し、2016年10月に最初の商品を発売しました。今日まで5つのFIDO認定の認証製品があり、マイクロソフト インテリジェント セキュリティ アソシエーション(MISA)の認証を受けています。

また、サイバーセキュリティとパーソナルプライバシーの分野において、2019年10月にはCES2020イノベーションアワードを受賞することができました。既に5つの特許を取得済みで、他に米国や日本、韓国において、別の5つの特許を申請中です。

AT.Wallet の開発経緯

加藤:AT.Walletは、AuthenTrendの指紋認証ノウハウを生かしたものだと思われますが、どのような経緯からAT.Walletを作るに至ったのでしょうか?

Zake:我々はブロックチェーンが一部のアプリケーションに対してとても合理的であると考えており、分散型の認証も重要だと考えています。

しかし、今日のブロックチェーンで適切なビジネスモデルを持つのは容易ではないため、機能の開発と収益化の観点から、指紋認証付きのコールドウォレットに取り組むことにしました。もう1つ、現在の他のコールドウォレットはユーザーに対して簡単ではないと思っています。

AT.Wallet の特徴

加藤:AT.Walletについて紹介をお願いします。ユーザーは、なぜAT.Walletを使うべきなのでしょうか?

Zake:コールドウォレットが必要な理由は、セキュリティが必要だからです。ウォレット内の暗号通貨や秘密鍵は常にオフラインであり、秘密鍵はSE(Secure Element)に暗号化された状態で保管されます。これは非常に安全な保護がなされたコールドウォレットです。

そもそも、PINコードは不便で安全性がありません。それを指紋認証に変えたらどうでしょうか?それが我々の答えなのです。

さらに、AT.WalletはUSBとBLE(Bluetooth)の両方に対応しています。ウォレットを使う場合、果たして毎回PCやスマートフォンに接続する必要があるのでしょうか?そのような製品が、持ち運びが容易といえるのかには疑問を感じます。ですので、我々はスタンドアローンモードで素早くチェックができて、QRコードで受信できるカード型のウォレットを作りました。

加藤:AT.Wallet は指紋認証によるセキュリティを売りにしていますが、どのようなものかを教えてください。

Zake:AT.Walletは、セキュリティと利便性を両立しています。セキュリティチップとして、Infineon Secure Element(SLE97, EAL5+SE)を採用しています。SE内で秘密鍵を生成して保管する仕組みになっています。秘密鍵はSEから外部に出ることはありません。SE内でトランザクションのハッシュデータに署名をします。

指紋センサーは、Samusungのスマートフォンに採用されているセンサーと同じ、Egis(イージス)のものを採用しています。AT.Walletでは、指紋画像は保存せず、暗号化された指紋テンプレートをハードウェアチップ内に保存します。指紋の照合はカード側で行われます。指紋テンプレートはカードの外部には開示されず、署名済みの公開鍵のみが送信されるようになっています。

さらに、指紋センサーにはユニークコードが割り当てられています。これにより、カード内における照合のためにのみ、指紋テンプレートの復号化が許可されます。そのため、悪意をもって照合させる目的で、カードの指紋テンプレートを他のカードやデバイスに付け替えることはできません。

また、AT.WalletにはPINコードが無いので、カードを紛失した場合に、誰もPINコードを推測することができません。さらに一定回数、指紋照合に失敗すると、カードが自動的にロックされます。これにより、ハッカーによる連続的な試行を回避できます。もちろん、リセット機能もついています。指紋照合のFAR(他人の受入率のこと)は、5万分の1未満になります。

AT.Wallet の優位性

加藤:AuthenTrendは、ウォレットメーカーとしては後発になります。だいぶ他社の競合製品を研究していると思われますが、AT.Walletが他社製品と比べて特に優れている点は何ですか?

Zake:AT.Walletの優れている点は、そもそも指紋認証が使えることです。安全性が低く、タイピングの不便さを持つPINコードに変わるのが指紋です。

また、スタンドアローンモードやBLEモード、USBモード機能を搭載している点です。他のカードタイプのハードウェアウォレットと異なり、ユーザーに多くの選択肢を提供します。その他、E-inkディスプレイがついており、テキストが多言語で表示でき、QRコードの表示も可能である点です。これらは他社にはない機能になります。

加藤:AT.Walletは世界最大の電機産業の見本市CES2020でイノベーションアワードを受賞しました。AT.Walletにどのような反響があったのでしょうか?

Zake:CESでは、既存の銀行口座とクレジット口座を1枚のカードに統合して持ち運びが出来る物理デジタルウォレットの他、多くの協業オファーをいただきました。

他にも、「ウォレットを開封してテストをしてみた。これは今までテストした中で、最高のハードウェアウォレットの1つだ」などのお声をいただいております。特に、海外のお客様から多くの称賛をいただいております。

AT.Walletのマーケティング

加藤:これから製品リリースになりますが、グローバルではどのようなマーケティングを行っていきますか?また、日本市場に期待していることは何ですか?

Zake:我々は、日本、アメリカ合衆国とヨーロッパ各国、そして台湾をターゲットにしています。日本のコンシューマー市場で成功したいと思っております。そして取引所への導入やパートナーとの協業を進めていき、日本の仮想通貨ユーザーをハッキングから守りたいと思っております。

製品ロードマップ

加藤:直近半年における製品のロードマップを教えてください。

Zake:より多くの暗号通貨をサポートすることです。主要なOSのアプリに対応し、ユーザーのシナリオや要望に沿った機能改善を行います。また、MetaMaskやMyEtherWallet(MEW)や他の有名な取引所WEBへの組み込みを予定しています。

この他にも、取引所との提携を考えています。ウォレットだけではなく、USBやBLEインターフェース、E-Ink、指紋を活用して、特定のブロックチェーンアプリケーションの「オフライン台帳」の存在になるべく取り組んでいきます。

読者へのメッセージ

加藤:最後に読者の皆さんへメッセージをお願いします。

Zake:生体認証は最高のパスワードです。常にあなたと一緒で、忘れることもなく、容易にコピーされたり、盗まれることもありません。指紋を使用して、暗号通貨にセキュリティと利便性をもたらします。